第18章 傾国の紅粉 【豊臣秀吉 編】 R18
「…分かった。
でも、、、秀吉さんが思ってた『添い寝』くらいならいいんだよね?
だって私たち、恋人なんだし… 誕生日だし…」
「ああ、もちろん。
なんなら、御伽噺(おとぎばなし)でもしてやろうか?」
笑って答えてみたが、莉乃はなんだか腑に落ちていない様子だった。
先に莉乃が褥に入り、襦袢姿が布団で見えなくなった所で、俺も横に入る。
こんな美人が俺の隣にいるなんて・・・未だに信じられない。
恋仲になって三月になるが、俺たちは唇を重ねること以上の行為はしていなかった。
髪を触ったり、抱き合ったりすれば、それで十分だ。
俺も普通の男だから…
莉乃を抱きたい気持ちは当然ある。
しかし、恋仲になる少し前の頃…
莉乃から今まで深い仲になった男はいないという話を聞き・・・
未通女だということを暗に知った。
こんなにも美人で明るく、誰にでも優しい莉乃なのだから、元いた世でも言い寄る男は多かっただろうに。
この世でも莉乃を連れて城下へ行けば、すれ違う男たちが皆振り返る。
正直、
こんなにいい女を連れて歩いて優越感があることも確かだ。
城の武将たちもそれは同じらしく、隙あらば莉乃に同行しようとしているし。
・・・気に入らないが。
今まで男関係に慎重だった莉乃が、俺を選んで恋仲になってくれたんだ。
いつか、とは思っているが、莉乃から簡単に手を出す男だと思われたくはない。
それに・・・
女にとって初めてその日を迎えるというのは一生に一度の大決心なのだから、男としては場所や体調など、気を配らなければならないことが山ほどある。
この三月で莉乃のことを知れば知るほど、どんどん惹かれていった。
莉乃深く愛するようになった今…
莉乃なしの生活なんて考えられない今・・・
抱くことよりも、莉乃に愛想をつかされないようにすることのほうが大事だった。