第17章 傾国の紅粉 【明智光秀 編】 R18
莉乃の部屋に到着し、障子の外から声をかける。
「莉乃、入るぞ」
中から「きゃっ」という声が聞こえたが、構わず障子を開けて入った。
莉乃は・・・
見るからに緊張し、部屋の隅で正座をしていた。
その様子はまるで、喰われる前の小動物のようだ。
「人のことを呼びつけておいて、悲鳴をあげるは、隅で縮こまってるは・・・
一体何のつもりだ」
緊張を絵に書いたような莉乃の可愛さにすぐ抱きしめたい気持ちをこらえ、冷たい目線を作って送る。
「あ、あの・・・私、さっきは・・・」
「あのような面前で『営み』に誘われたのは初めてだ。
なかなかに大胆な娘だな、お前は。」
そう言って、頬に指を添わせすっと撫でる。
その程度のことは今まで何度していたにも関わらず、びくりと肩を揺する莉乃をいじめたくて仕方ない。
信長様や武将の前で、夜伽を命令されたのだ。
少しばかりいじめてもバチは当たるまい。
「いくらお前の脳が些細な量とはいえ・・・
『夜伽』が何のことだか分かっての発言だろうな?」
「夜伽が何かは知っています。あの、さっきは、その・・・」
いつもの歯切れの良さはどこにもない。
「もう酔は覚めたのか?」
「はい、酔は覚めましたが・・・」
「なら良い。 酔った女を手篭めにする趣味はないんでな。
命には従おう、たっぷり可愛がってやる」
そう言って、ぎゅっと握られていた手を取り、口をつける。
そのまま腕ごと引き寄せ、莉乃を抱きしめた。
莉乃のあごに手を沿え上を向かせるとその潤んだ目には、俺の欲深い顔が写っていた。
唇を重ねると、そこはいつものように柔くて温かい、莉乃そのものだった。
舐め、吸い、そしてまた重ね・・・
ありとあらゆる方向から深い桜色の唇を攻め、癒し、味わう。
莉乃から漏れる甘い吐息が、もっともっととせがまれているようで止まれない。