第16章 傾国の紅粉 ~基本ルート~
___宴会の間
信長様の音頭で宴は始まった。
「皆、集まったな。
これより、莉乃の誕生祝いを始める。
今宵は莉乃を労い、酒も食事も好きなだけやれ。
乾杯!」
「乾杯!!」
目の前には所狭しとご馳走が並び、次々と封が切られていく銘酒。
部屋にはたくさんの明かりが灯され、祭りのように華やかだった。
「わぁぁ、こんなにたくさん!!
信長様、みなさん、ありがとうございますっ!!」
満面の笑みをたたえ頭を下げる。
「莉乃! 今日はいっぱい食えよ!俺が食わせてやろうか?専属でな」
そう言ってにやりとしながら隣を陣取ってくる政宗。
「先陣は切らせないぞ、政宗。 妹を甘やかすのは兄の特権だ。な?莉乃」
秀吉さんまで隣ににじり寄ってくる。
「兄ならむしろ、引くとこでしょ…
ほら莉乃、酒。 盃空いてるよ」
ぶっきらぼうだが、お酒がなくなるとすぐについでくれる家康に、
「莉乃様、お誕生日おめでとうございます!
お誕生日の贈り物を用意したのですが、部屋に置いてきてしまいました…
後ほど一緒に取りに行っていただけませんか?」
「三成、お前…
参謀を名乗るならもっとうまい誘い方しろ」
光秀さんに咎められている三成君。
「莉乃、後で俺の部屋に来い。茶を立ててやる。」
「光秀、お前も人のこと言えない誘い方だぞ…」
政宗が突っ込みを入れると、一斉にみんなが笑う。
上座の信長様もそんな会話を聞き、いつもより笑顔で飲まれていた。
そして時は一刻、一刻と過ぎ…
飲めや歌えやの大騒ぎ。
空になる皿、空いていく酒樽。
祝いの言葉と共にお酌される盃に口をつけていたら…
いつのまにかほろ酔いを通り越してかなり酔ってしまっていた。
宴もたけなわ、という頃。
「莉乃よ。
誕生日の祝いの品に『欲しいものはない』と申したな。
本当に無いのか?」