第16章 傾国の紅粉 ~基本ルート~
事が起きたのは、
いや、起こしてしまったのは数刻前のこと。
今日は、500年後からこの世界に飛ばされ、初めて迎える私の誕生日だった。
武将たちの誕生日には記念の宴が行われているのは知っていたけれど、まさか私の誕生日もこのように大きな宴を開いてもらえると思わず、嬉しさで胸がいっぱいになっていた。
仲間として受け入れられた喜び。
そしてもう一つ私の気持ちを揺さぶる事…
私には付き合って3ヶ月になる彼がいる。
私のことをとても大切にしてくれ、お互いの仕事の合間を縫っては逢瀬をした。
夜更けまで沢山の話をしたり。
まさか自分が歴史の教科書に載る人と恋に落ちるなんて…
最初は緊張していたけれど、彼の暖かさに触れるにつれ恋心はどんどん膨らみ、500年後に帰りたいと思っていた私の目標はいつのまにか「彼の隣にいること」に変わっていた。
ただ…
彼は私のことを大事にしすぎなのか…
キス以上のことをしてこない。
そのままの流れでその先に進みそうになると、なぜか止まってしまう。
もう3ヶ月も経つのに…
自分から求めるなんてできないし、もしかして自分にそこまでの魅力が無いからなのか…
それとも二股?
色々な考えが頭をよぎり、不安になっている自分がいた。
誕生日という特別な日には、彼も何かしらのアクションを起こしてくれるかもしれない。
そんな淡い期待もあり…
今日という日を少しの不安と期待で迎えたのだった。
____________________