第2章 フロイド【R18】
顎を掴まれ、無理矢理上向きにされたかと思えば間髪入れず唇が重なった。顔が近すぎて、焦点が合わない。ただ唇から伝わる熱に思考が奪われる。
「せんぱ……ぁ…!」
「……っ。」
口を開くと、咄嗟に彼の舌がぬるりと侵入して来た。歯の内側を這い、柔らかな舌が絡められ、頬を舐りリーチ先輩の唾液が咥内に流れ込む。けれど限界まで上を向いている事もあって苦しくて飲み込む事が出来ない。息が出来なくて、溺れてしまいそうな感覚に目眩がする。
「くる、し……。」
「っ、は〜…小エビちゃんの口ん中、きもちい。」
漸く離れると、透明な唾液が互いの舌先を繋ぎぷつりと切れた。リーチ先輩はうっとりと眦を緩め濡れた唇を舌なめずりする。私は口の中に溜まった唾液を飲み込み、大きく酸素を吸い込む。キスで殺されるかと思った。聞こえはロマンティックかもしれないが、とんでもない。
酸欠でぼんやりとしていたら、一気に視界が反転する。何事かと目を見開く。気付けば私は、あっという間に彼のベッドの上へと押し倒されていた。
「オレ、人間の交尾のやり方よく知らないんだよねぇ。だからさぁ、小エビちゃんが教えてよ。」
「そんな…!」
「いいじゃん、小エビちゃんだってオレにちゅーされるの気持ちよかったでしょ。それに…オレもっと小エビちゃんに触りたくなっちゃった。」
そう言ってリーチ先輩は着ていた制服のジャケットを脱ぎ、床に投げた。もうダメだ…終わった…私に逃げ場は無いし、逃げた所で絞め殺される。この人の言う大好き、なんて今の気分に過ぎない。次の日には普通か嫌いに変わるだろう。そんな男に抱かれるなんて嫌だ。嫌だけれど、不機嫌になった彼に殺されるのも嫌なのだ。私は腹を括り腕で目元を隠した。
「…もう、好きにして下さい。」
「やったぁ♡」
リーチ先輩の手が私のブラウスに伸びる。一つずつ、ボタンが外され肌が顕になっていく。先程胸を揉まれたせいで既に下着はずり上がっており、なんともあられもない姿を見せているかと思うとやっぱり死んだ方が良かったのでは、なんて思ってしまう。
全てのボタンが取られ、前が完全にはだけると彼の指先が鎖骨を外側からなぞり、左胸にあてられた。
「ちょー心臓ドキドキしてる。」
「男の人に身体見られるなんて、恥ずかしいに決まってるじゃないですか…。」