第5章 ジェイド【後編】
少しだけ間の抜けた声が聞こえたのはちょっとラッキーだった気がする。が、恥ずかしくなって直ぐに毛布の中へ逃げ込んだ。数拍の間を空けて頭上からクスクスと静かに笑う声が聞こえて来る。そして、腰へ添えられていた腕へ力が篭った。
「折角我慢しているというのに…その様な可愛らしい事をされては理性も簡単に消されてしまいそうだ。」
「私まだ15歳なんで我慢して下さい。」
「もしも行為に至る時はしっかりと避妊はするのでご安心下さい。」
「話聞いてます?」
「手は出しませんよ、まだ。それではおやすみなさい。貴方が僕の夢を見ますように。」
「本当にとんでもない事サラッと言いますね。…おやすみなさい、ジェイド先輩。」
そうして短い言葉を交わし、静かな眠りにつく。翌日、目を覚ますより先に部屋へ訪れたフロイド先輩に見つかり秒で付き合い始めた事がバラされる羽目になるのだった。
*