第4章 ジェイド【中編】
「!?何、何なの!?」
急に機嫌の良くなった2人に頭をこれでもかというくらい撫でられる。全然意味が分からない。けど、機嫌が戻ったならまぁいいか。
軈て予鈴のチャイムが鳴り、グリムを拾って授業へと向かった。それからは本当にごくいつも通り、ふざけ合いながら休み時間を過ごし、時は流れる。そして遂に放課後。日も沈んだ頃私達は約束のトランプゲームをする為ハーツラビュルの談話室へと訪れた。メンバーはいつもの4人に加えトレイ先輩、ケイト先輩、通りかかったリドル先輩を捕まえ7人。昼食を賭けて戦っていたのは私達一年だけだけれど、それを差し引いても勝負は苛烈を極めていた。
「ふな゛ぁ〜〜〜!また負けたんだゾ!!」
「先輩達全然顔に出ねーじゃん!しかも引き強すぎ!」
「そりゃあ当然、けーくんこういうのちょー得意だから!」
「俺も良く弟たちとやってたから、苦手では無いな。」
「どんな勝負でも全力を尽くす、当然の事だろう?」
年の功というやつだろうか、先輩達がただひたすらに強い。後輩である私達がひたすらドベ争いを繰り広げている。ジェイド先輩とひっそり話すのも楽しいけど、やっぱりこうして大人数でワイワイ過ごすのも楽しい。なんだかんだ異世界での生活超楽しんでるなぁ。
「オレちょっとトイレ!」
「ボクは飲み物取ってきます。他にいる人居ますか?」
「僕はいい。」
「流石デュースちゃん、気が利くねぇ!オレ紅茶!ノンシュガーのストレートね。」
「俺も良いかな。」
「私ミルクティー!」
「オレ様も!」
「分かりました。」
エースとデュースが席を外している間にトランプを纏めて適当に切る。そうだ、2人がいない間に聞いてみよう。先輩達なら私達より魔法によっぽど詳しいし、私が抱いている疑念を解消出来るかもしれない。
「先輩方に一つ聞きたいことがあるんですけど良いですか?」
「なんだい?」
「ほんの一定時間でも、私みたいな魔力ゼロの人間に魔力を譲渡することって可能なんですか?」
問い掛けに対する答えは直ぐに返って来ず、3人は顔を合わせた。何故私がこんな事を聞くのか疑問に思ったのだろうか。…でも、聞かずにはいられない。
「んー、結論から言うと、無理だね。なになに、ちゃんも魔法使えるようになりたくなっちゃった?」