第4章 ジェイド【中編】
「オレ様はちゃーんと寝てるゾ!でも、は時々起きると居ねー事があ…むぐぐッ!」
「トッ、トイレに行ってたんじゃないかなぁ!抜け出したりなんてしてないよ、そんな事!」
「…今グリムは抜け出してるなんて一言も言ってなかったよな、エースくん。」
「その通りだぜデュースくん。」
慌ててグリムの口に、持っていた私のサンドイッチを詰め込んだが時既に遅し。というか、墓穴を掘った。
チラリと2人に視線をやれば、意地悪くニヤニヤと笑っている。やばい、あんな事してるなんてバレたら私この2人と二度と顔合わせられない。恥ずかしくて。
「…用事思い出した!」
「逃がすか!」
「待て、!!」
椅子から飛び上がり、人の波を掻き分け全力で食堂から逃亡を図る。が、当然エースもデュースも追ってきた。ひえぇ、捕まったら尋問される…!グリムは食意地を張っているし、多分残ってるエースやデュースのご飯まで平らげているだろう。
「大人しく捕まれ!」
「そうだ!どうせ逃げた所で後で顔を合わせた時に聞くんだからな!」
「聞かないで欲しいんだよ!」
「逃げるってことは、なんかやましい事してるって事だろ!」
「してない!!」
ひたすら廊下を走った。何処か隠れる場所…!追ってくるエース達の顔を見る。なんでそんな躍起になってるんだ!
そんな事を思いながら前を見ず、走っていたせいで人にぶつかってしまう。
「わっぷ…すみません…!」
「コラコラ、廊下走ってるところをリドルに見られたら、お前もタダじゃ済まないぞ。何をそんなに急いでいるんだ?」
「トレイ先輩!」
「うわ、なんだ?」
ぶつかった相手は見知った人だった。これはチャンス…!
私は咄嗟にトレイ先輩の後ろへ隠れる。ふふふ、これで手も足も出ないでしょう。なんてったってハーツラビュルの副寮長なんだから。
「クローバー先輩、をボクたちに差し出して下さい!」
「そもそも匿っているつもりは無いんだけどな…。」
「トレイ先輩、デュース達の言葉なんて聞かないで下さい!!」
「お前トレイ先輩を盾に使うなんてドンドン卑怯になってくな〜…。」
「エースにだけは言われたくないよ。」
私たちはトレイ先輩を挟み睨み合う。巻き込まれた先輩は訳が分からないといった様子で頬を掻いた。