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Good old fashioned lover boy

第9章 輝ける者の秘密


「どうやら貴女にはとても大きな覚悟があるようですね。」
「覚悟…?」
「そうじゃなければこうしてギャングと一対一で話すことはしないでしょう?」
「彼」は当然のように返してきた。
そういえば、私にはどうしても気になることがまだ一つだけ残っていた。
「あの…」
ここまで話しかけたところで「彼」が私が肌身離さず持っていたあの日記帳を出してくれた。
「これでしたよね…。」
すると「彼」の表情がどんどん暗くなっていくのが分かった。
あの時に自分が行った過ちをかなり反省してるように見えた。
「そんな暗い顔しないで下さい。
確かにあの時、私は目が覚めた後にとても悲しくなりました。
でも、私も似たようなものです。
何故なら勝手に相手の過去を見てそれを他者に売り渡すような女ですから…。」
「それじゃあ僕の過去は?」
「彼」の過去なんて「あの男」を含めて誰にも話す気なんて私には無かった。
そればかりか、それを知ってるのは私だけで十分だという独占欲のようなものさえ出てきていたのだ。
こんな気持ちが芽生えたのは26年生きてきて初めてのことだった。
「ロッセリーニにもそうだけど貴方のことは誰にも話していませんし、口が裂けても話す気はありません。」
すると「彼」が自らの額を私の額にくっつけて指を絡めるように手を握ってきた。
一瞬のうちに私の心は熱くなってしまった。
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