Good old fashioned lover boy
第9章 輝ける者の秘密
「自由になりたいんです…。」
震えた唇から出てきた言葉は私が心の奥底で望んでいたものだった。
「自由?」
「えぇ、私は両親を失くして身も心もボロボロになってた頃にあの男と出会いました。
あの男の父親と私の父は長い付き合いがあるので息子の存在も知っていました。
会ったその時、口車に乗せられて私は今日までこんな生活をしてきました。
まだ右も左もよく分からなかった私はこれが正しいことなのだとずっと信じてきました。
…でも、それらは全て私の特別な力を使う為の罠だと知ってからは…」
ここまで話したところで目から涙が溢れてきてしまった。
それは、これまでずっと堪えてきたことに限界を感じたサインなのかもしれない…。
「大丈夫ですか?」
「彼」が優しく私の背中をさすってくれた。
涙で濡れた瞳と視線が合うと、彼の瞳はどこか優しくそして心配そうにしているように私には見えた。
「それであの手紙は貴女にとっては僕達に対する告発状だということなのですね。」
「そうです…。
あなた方の噂はこの地に移り住んでからずっと知っていました。
ギャングに手を貸すなんてと世間ではそう言われるかもしれません。
でも、警察や他の機関をあたったところできっと相手にしてくれません…。
何故なら私の両親の事故をあんな形で終わらせたのだから…!」
これほどに誰かに対して思いの丈を語ったのはいつ以来だろう…?
私はただ、大人しくいる為に自身の感情にずっと蓋をしていたのかもしれない…。
それが今ここで開けられたのだ。
しかし、酔いが冷めたように私は元の状態に戻ったところで「彼」が口を開いた。