Good old fashioned lover boy
第9章 輝ける者の秘密
「大仕事が決まったよ。」
男は私が書斎に入るや否や開口一番に言った。
「大仕事?」
私が聞き返すと男は嬉々として話し始めた。
「ネアポリス郊外にあるホテルを君も知ってるだろう?
そこは父親の代から私がオーナーを務めてるホテルでね…」
そこまで話したところで男は唇を私の耳元まで寄せてこう囁いた。
「そのホテルに裏の組織を含め、大物政治家やセレブ達も大挙してやって来るパーティーを開くんだ。
君にはそこでショーをやってもらいたい。」
この話を聞いた瞬間に私は何故か、身体が震えるような感覚に陥った。
私はこれまで数々の舞台に立ったがここまでの緊張感に襲われるのは初めてだった。
とうとう来るところまで来てしまった…。
以前から本人に知られないようにこっそりと男の素性を私は調べていた。
そこで分かったのは両親は事故に見せかけて殺された事と、例の「弓矢」が原因であの組織に復讐をしようという狙いがあったところまでは分かっていた。
まさか、そればかりでは飽き足らず他人の利益を独占しようとするなんて…。
こればかりは自らがスタンド能力を持ってるが故の運命を私は恨むしかなかった。
そんな事を私が考えてることも知らずに男は指で顎を軽く上げてじっと私の瞳を見つめた。
男の瞳は欲にまみれたどす黒い野望を持つ愚か者の表情を見せていた。
私は顎に触れていた指を払って書斎から出ていった。
何故だろう、書斎を出た後にからに彼のまっすぐで美しいエメラルドグリーンの瞳を思い出して私はまた以前のように心と身体が熱くなるような感覚に襲われたのだった。。