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Good old fashioned lover boy

第3章 華麗なる瞳


ステージに上がった彼女は目の前にある椅子に腰かけた。
その前にある机の上にはトランプとグラスが置いてある。
マジックではよく使用される定番の道具だ。
彼女をトランプを手に持つとその中からカードを一枚引いた。
(引いたのはダイヤのエース)
それを観客に見せると彼女はカードを小さく折りたたみグラスの中に入れた。
「彼女は何をしたいんだ。」
先ほどまで興味をあまり示していなかったアバッキオも前かがみになってその様子を見ている。
彼女はそのグラスを右手で取ると飲み口の部分を左手で完全に塞いでそれを2〜3回強く振った。
チャリンチャリン………。
ざわめきの中で金属音が響く音がした。
それを確認した彼女はグラスから手を離すと中にあったのは小さく折りたたまれたトランプではなく、一枚の金貨だった。
それを見た観客は驚きの声を上げた。
彼女は金貨を再びグラスに入れるとまた両手でグラスを振った。
すると金貨とはまた違う金属音が聞こえた。
次にグラスの中にあったのは金で出来た十字架のネックレスだった。
彼女がそれを自身の首につけてそれを見せると歓声が湧いた。
「すげえ、どこにも仕掛けなんて見当たらなかったのに」
ナランチャは童心に戻ったかのように目をキラキラさせていた。
息つく暇もなく彼女が次に出したのは花瓶と美しい花々が描かれた本だ。
ページをめくり彼女が見せてきたのは一輪の赤いバラが描かれていた。
そのページを丁寧に破ると丸めて花瓶の中に入れて左指をパチンと鳴らした。
紙を外すと一輪の赤いバラが花瓶の中で咲き誇っていた。
肝心の紙には先ほどまで描かれていたバラの挿し絵はなく真っ白になっていた。


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