Good old fashioned lover boy
第8章 愛にすべてを
リゾットの口から出てきたのは「彼女に会った」というジョルノにとっては信じられない言葉だった。
彼は言葉の処理に追いつけず数秒ほど固まってしまった。
やっと言葉が出てきたと思ったら自分が思っていた以上に少し震えた声だった。
(恐怖からくる震えなのか、怒りからくる震えなのかどちらともとれないものだった。)
「…会ったってどういう意味ですか?」
「任務を終えて屋敷内を出ようとしたその時に彼女のスタンドと鉢合わせになったんだ。
最初はそれを利用してどこかで俺を攻撃するのではないかと思っていたが、それどころかまるでどこかへ案内するかのように見えてそのままスタンドの後ろをついていくと彼女が軟禁されてるであろう部屋にたどり着いたという訳だ。」
まさかリゾットが屋敷に侵入することを読んでいたのか、またはただの偶然なのか…。
いくら考えたって今のところ答えは出てこない。
「でも、軟禁されてるとなると部屋の前にもボディーガードがいるはずでは?」
「部屋の前にはそんな人間はどこにも見当たらなかった。
(部屋の)中に隠しカメラがあるのではないかと思って確かめたがそれもなかった。」
ボディーガードもいなければ、カメラもない。
こんな状況なら逃げ出すのにはもってこいだが、彼女はそれをしない。
一体何が彼女をそこまでつなぎ止めているのだろうか…。
「そんな状況なら逃げ出してもおかしくはないはずなのに何故…。」
「洗脳か、あるいは機会を狙っていたのかもしれないな…。
実はこういった物を彼女から預かったのだが…。」
リゾットがコートの内ポケットから一通の手紙だった。