Good old fashioned lover boy
第8章 愛にすべてを
「随分と時間がかかりましたね。
屋敷内で何かあったのですか?」
「大丈夫だ。特に問題はない。」
フーゴに証拠を記録したカメラを渡してリゾットは車の後部座席に乗り込んだ。
リゾットは先ほど屋敷内で会った「彼女」のことを思い出した。
「彼女」は誰もが羨む美貌の持ち主という訳ではない…。
しかし、その何もかも見抜いてしまいそうな瞳とは裏腹に内向的な性格は一見マイナスなイメージを与えてしまうが心の中には恐怖や不安を自ら跳ね除けようとする意思の強さも見られた。
それでいて悪い欲もなく清楚な印象であった。
美青年と謳われながらも女にはほとんど興味を示さないあの若きボスが恋をしてしまう理由もリゾットはあの時によく分かった。
そしてあのプロシュートが「彼女」を自らの「お気に入り」と言う理由も頷ける。
しかし、ギャングとの恋は命がけだ。
リゾットはシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」のように悲劇的な最期を迎えた人間を何人も見てきた。
この世界に飛びこんだ以上、安全など何処にもないと言うのが常だが新体制になってからボスを近くで見てきた彼には少し気がかりではあった。
そんな事を考えていると車はジョルノがいる本部のアジトに着いたのだった。