Good old fashioned lover boy
第8章 愛にすべてを
リゾットの前に現れたのはたくさんの花と宝石に彩られたドレスに身をつつみ、肌は本物の人形のように白く透明感がありブルネットのおさげをした「スタンド」だった。
突然現れた「スタンド」にリゾットは思わず身構えたが、どうやら相手に攻撃する意思は無いようだ。
だが油断してはならない。
もしかしたら、既に奴はこの屋敷に戻っており侵入者に攻撃出来る瞬間を手ぐすね引いて待っているのかもしれない…。
屋敷から出るまでは一瞬たりとも気を抜くことは出来ない。
しかし、相手は攻撃するどころか首をかしげてリゾットを不思議そうに見つめていた。
今のところ彼に害を与えるような行為は無い…。
ここでリゾットはある一つの疑問が浮かんだ。
それはこの「スタンド」を操る本体、つまり持ち主である人間が見当たらないのだ。
メローネと同じように遠隔操作が出来るタイプの「スタンド」なのか…?
そうやって様々な考えを頭の中で巡らせていたその時、相手がくるりと背を向けて動き始めたのだ。
逃げるというよりも、ついて来て欲しいという意思が感じられたのだ。
長い廊下を抜けて階段を登り、また長い廊下を歩くと奥に大きな扉が開いたままの部屋があった。
そこから部屋を覗くと窓辺にある椅子に腰かけて外を見ている女の姿があった。
すると、何かに気づいた女がこちらを見た。
そこにいたのは特徴的なスミレ色の瞳をした「彼女」だったのだ。