Good old fashioned lover boy
第6章 恋のゲーム
「すみません、つい熱くなってしまいました…。」
そう言って青年は元の落ち着いた声のトーンに戻った。
時折見せるいたずらっ子のようなしぐさや熱くなる瞬間、それが全て私にとってはとても新鮮だった。
私が今まで見てきたギャングとはまるで違う。
もっと高圧的な態度をとったり、女性を見下すようなな人間や親子ほどの年が離れた老人ばかりであった。
もし、そんな輩とこのように1対1でいたら私は力で即座にやられてしまうだろう。
でも彼だけは違った…。
まるで私といるこの時間を楽しんでるようにも見える…。
先ほどまで一緒に絡めていた私の指先がまたその温もりを求めようとして動かそうとしていた。
すると、彼がそれを察知したように私の指を再び絡めてきた。
「どうかしましたか?」
指を絡めたまま彼がぐっと私に近づいた。
エメラルドのように輝く瞳が私のスミレ色の瞳を捉える。
「いえ、あの、一つ教えてくれませんか?
どうして、私を助けたいのか…。」
青年はふふっと笑ってこう答えた。
「先ほども話した通り、僕は人格者の振りして女性を飼いならし、挙句の果てには組織の領地を汚したあの男が許せないのです。
それに、僕はちょっとしたゲームをしてるんです。」
「ゲーム?」
「ええ、でもこれがなかなか難しいんです。」