Good old fashioned lover boy
第6章 恋のゲーム
やっぱりそうだ…。
この為に周りの人間を眠らせて私に近づいたんだ。
どのみち私には自由の身になれるという選択肢はないようだ。
目の前にはギャングがいて、私の背後にあるのは自由があるようでない軟禁生活…。
どうしてこうも私の人生には不幸の代名詞と呼ばれてもおかしくないようなものばかりなのだろう…。
私が黙りこんでても青年は手を離そうとしない。
それどころか、恋人同士がするように自分の指を絡めてくる…。
この光景を見た私は体温が徐々に上がってくるような錯覚さえあった。
「貴女を取って食うようなマネはしません。
それは道端にいるチンピラがやるような事です。
僕らはロッセリーニをこの街から追放したいのです。
…そして、僕は貴女を助けたいんです。」
奴を街から追放…?私を助けたい…?
その言葉を理解するのに多少の時間がかかったが、彼の私をまっすぐ見つめるエメラルドグリーンの瞳を見た瞬間に分かった。
「だから、貴女がいつも肌身離さず持ってるそれの中身を見せてくれませんか?」
怖い…最後のページには私があの時に見たベットでうずくまる青年の絵が描かれている…。
それは私の前にいる青年の瞳を見た時、私の瞳にとびこんできたものだ。
もしそれを見られたら私は知ってはいけないものを見てしまったという事になる。
人間は誰しもが知られたくない、見られたくないものがあると私は考えている。
それが青年にとって知られたくない「何か」だったら…。
しかし、青年は険しい表情を見せることなく私を穏やかに、まるで恋人を見つめるような表情をしていた。
それを見た私はさらに体温が上がるような気がしてならない。
一か八かだ…。
私は絡んでいた彼の指を離して日記帳のページを彼に見せた。