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Good old fashioned lover boy

第6章 恋のゲーム


どうして…彼がここに…?
突然起こった出来事に私の頭は情報の処理に追いつけていなかった。
そういえば、さっきまで近くにいたマスターの姿がない。
周辺を見たがその姿はどこにもいなかった。
驚きを隠せない私の様子を察した青年がここでようやく次の言葉を発した。
「あぁ、先ほどまで貴女の近くにいたマスターは裏で熟睡してますよ。
もちろん、貴女をここまで送って店の近くで待機してるボディーガードもしばらくは起きませんよ。」
私がどうやってここまで来たか、そしてここでよく過ごすことも青年には全てお見通しのようだった。
美しい顔立ちをしてるが、やはり彼はギャングなのだと痛感した。
彼は私の隣に向き合うような形で座って足を組んだ。
美青年がこんな近くにいたら誰しもが見惚れてしまうだろう…。
多分…私も…例外ではないはずだ。
「煙草吸う方なんですね。」
青年の視線の先にあったのは灰皿にあった口紅のついた折れた二本の煙草だった。
確かに私は昔ほどではないが煙草を吸うことが時々ある。
「はい、昔ほどではないですけど時々ね…。」
「これは意外ですね。
貴女のような女性には想像もつかない代物ですよ。」
きっと、こうやって私の警戒心をほぐして取り引きを持ちかけてくるのだろう。
いくら私でもその手には乗れない…。
さり気なく日記帳を閉じようとしたその時、私の手にやんわりと長い指がそれを阻止した。
突然のことに固まってしまった私に彼は言った。
「その中身を見せてもらってもいいですか?」

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