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Good old fashioned lover boy

第6章 恋のゲーム


※ヒロインside
久しぶりの外出で雨に見舞われるという自分の運のなさを改めて痛感した夜のことだった…。
まさか、あんな事が起きるだなんてこの時の私は何も考えていなかった。
奴のボディーガードが運転する車に乗り、私はお忍びで訪れるバーに向かった。
そこは、私が外出を許された時に必ず行く場所で奴に与えられた部屋よりも心が安らぐのだ。
立派な白ひげをたくわえたマスターは私のことをあまり詮索せずに優しく受け止めてくれる。
噂ではかつて彼は裏の世界の住人だったなんて話もある…。
そこから足を洗ってこの街の片隅でバーを経営しながらひっそりと暮らしてるとのこと…。
もし、私が奴から解放されたならその後はどんな暮らしをするのだろう…。
今の私には想像でしかないが一般人と同じような生活が出来るような気がしない。
マジシャンとはいえ奴の下で働くような女でそれがなくなったら私はこの能力と共に苦悩しながら生きていくのだろう。
宗教や個人に洗脳され自身の半生をそれで過ごしてきた人間のエピソードをテレビで時々見かけるが、そこから解放された彼らはどうやって生きていくのだろうと私はいつも疑問に思っていた。
いくら彼らが被害者とはいえそれらに人生を捧げてきたのは事実だ。
それがなくなった瞬間、彼らはどうなるのだろうか…。
解放された喜びに安堵するのか、または明日からどうやって生きていけばいいのだろうと不安な気持ちに駆られるのか、最悪の場合は自らの命を絶ってしまうのか…。
私はどんな選択をすればいいのだろう…。
しかしこれはあくまで私の想像でしかない。
そう思って私はふと、よく使う日記帳を開いた。
そこには私が今まで会った人物の情報や似顔絵が書かれている。
大切なものである為にいつも肌身離さず携帯している。
「絵がお上手なんですね。」
この言葉を聞いた瞬間、私の世界は180度回転することになる…。
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