Good old fashioned lover boy
第6章 恋のゲーム
夏の雨が夜が深くなってもしとしと降り続いていた。
そのせいか今日は街には人があまり出ていない。
誰もが憂鬱になりそうな中、ジョルノは「彼女」が現れるというとあるバーに向かっていた。
そこは街の中心地から観光客もほとんど来ない少し離れた路地裏にあり、そこに住んでる人間でさえわずかしか知らないといった所だ。
メローネから聞いた情報を頼りにジョルノ進んでいく…。
一見、観光客が多く訪れる賑やかで活気のある街だと思われるがこういった路地裏に来ると別の表情を見せる。
喧嘩、売春、麻薬の取り引き…これらのものがこの辺りに来ると度々ジョルノはボスになる前から目撃したことがあった。
パッショーネはギャングとしては珍しく麻薬の取り引きを行うことを嫌う組織だ。
それはかつて腐敗しきった連中が多くの不当な利益を上げ、一般人に蔓延していたからだ。
挙句の果てには子供にまで薬物の魔の手が伸びていた。
それに心を痛め強い怒りを持っていたのが今も幹部としてジョルノを支えているブチャラティだ。
彼は自分の父親が薬物の売人によって暴行を受け、それがきっかけで麻薬を嫌っていた。
彼ばかりでなくジョルノ自身も多く得た不当な利益を独占する組織に違和感を覚え、そしてあの戦いに踏み切りボスの座についた。
それは一言では語りつくせない話だが今の彼にとっては忘れられない過去のことで、今は奴らの尻尾を掴むことに集中していた。
そうこうしてるうちにジョルノは目的地であるバーにたどりついた。
目立った看板もなければ灯りもまばらだ。
確かにこれでは現地の人間も知らないと言わざるを得ない。
ジョルノは重い扉を開け店内へ入った。
中はシックなインテリアでまとめられており、白ひげをたくわえた店主である老人と…写真で見た例の「彼女」がカウンターの端に座っていた。
日記帳と思われるものを広げて何かを書いている。
ジョルノは気配を殺して「彼女」にゆっくり近づいた…。