Good old fashioned lover boy
第5章 誘惑の炎
パーティー会場から出て、ネアポリスにある本部へ戻る車内でジョルノはあの光景が瞳に焼きついて離れなかった。
彼女が他の男性と話す所を見るだけで心の中がどんどん汚い色で淀んでいく…。
あのショーの後でもそうだった。
彼女がナランチャやフーゴ達に穏やかな口調で話してる時も何ともいえない不快感のようなものがあったとジョルノは思い出した。
それが親しい者であればあるほどにその気持ちが大きくなる…。
しかし、不快感のようなものが蔓延るばかりではないことにも気がついた。
彼女の瞳をまっすぐ見つめるだけで心に火をつけられたように熱くなっていく…。
そして、彼女と会話をするだけで心地よく感じる…。
彼女が右手の薬指にはめていたエメラルドの指輪は奇しくもジョルノの瞳と同じ色だ。
ただの偶然といえばそうなるのかもしれないが、今のジョルノにはそうには思えないような気持ちが強くなっていた。
これはつまり…。
「ボス、どうかしたのか?」
隣に座っていたリゾットが声をかけてきた。
「いえ、大丈夫です。
少し考えごとをしてただけですので。」
とはいえジョルノはギャング組織のトップに立つ男である。
一人の女に夢中になりつつある自分に誰かが気づいたら気づいたら何を言われるか分からない。
しかしジョルノは諦めることは毛頭なかった。
彼の心には熱く燃える炎がつき始めたからだ。