Good old fashioned lover boy
第5章 誘惑の炎
後ろを向くと声の主がツカツカと彼女の元へ歩み寄った。
「こんな所にいたのですね。」
奴は彼女の顎を指で軽く上げて瞳をじっと見つめながら言った。
一体何を見せられているのか…。
ジョルノの心の中は水の中に黒いインクを落としたように不快感にじわじわと染められた。
彼女が奴と会話をしてるだけで何故こんなにも気分が悪くなるのだろう。
すると奴はジョルノの方を向いて言った。
「すみません、彼女が何か失礼なことでもしたでしょうか。」
「いえ、とても楽しくお話させていただきましたよ。」
この後に嫌味を含めたことを何か言ってやろうと思ったがジョルノはぐっと心に閉じこめた。
下手に何か言ったら争いが起きかねないからだ。
奴は彼女を離さないと言わんばかりに彼女の体に手を回してる。
こんな光景はこれ以上見たくない。
「さあ、もう時間だ。」
奴の言葉で彼女はイスから立ち上がった。
どこからかすかさず黒服の男達が数人ほど駆け寄ってきた。
「それでは私はこれで…。」
そう言って奴らは彼女を連れてその場を去った。
そしてジョルノ達も頃合いをみてパーティー会場から抜けたのだった。