Good old fashioned lover boy
第5章 誘惑の炎
「同じ髪型をしていたので気になって声をかけたんですよ。」
確かに私と同じく髪をみつ編みにして後ろで一つにまとめてる。
前髪はくるりと丸くカールしてる…。
他の人より目立つけどこの青年はどんな髪型や髪色にしても似合うはずだ。
異性なのにとても羨ましく感じてしまう私がいた。
「私より貴方のほうがよくお似合いです。
ブロンドの髪がとても輝いてるわ。」
「何をおっしゃいますか。
貴女のその長く艶のあるブルネットは素敵ですよ。」
やはりこの国の男性は情熱的な人が多いと実感させられる。
こんな私にも声をかけてくれるなんて…。
でもこれはきっと挨拶程度のものに違いない。
そう割りきった時、青年はまたかがんだ姿勢になり私の耳元に唇を寄せてきた。
「雪の女神が早くも現れたのかと思いました。」
中低音でよどみのない声から生み出された言葉は私にとっては信じられないものだった。
「そんな、私はただ他の人よりも色白なだけです。」
私はただ青年の言葉を返すのに必死だった。
「そうですか?他の男性達は見る目がありませんね。
こんなにも魅力的な方がいるというのに。」
とうとう私は返す言葉が見つからなくなりカクテルを一口飲んだ。
しかし、一つ分かったのは私の瞳について彼は全く触れていない。
やっぱりこの人は…。
そう思った時、青年が私の右手の薬指に視線を落とした。
「エメラルドの指輪ですか。」