Good old fashioned lover boy
第5章 誘惑の炎
信じられない…どうして…。
でも落ちつかなきゃ…。
隙を見せたら何をされるか分からない。
「良かったらご一緒にいいですか?」
青年は物腰の柔らかい丁寧な口調で私に問いかけた。
本当にこの人が噂の組織のボスなの?
私が見てきたのはもっと、高圧的だったり年老いた人ばかりなのに…。
でもどうして私なんかに声をかけたのだろう。
私以外にもっと綺麗で魅力的な女性はここにたくさんいるはずなのに。
まさか私のスタンドを見抜かれた…?
確か、この力は同じ力を持つ人間しか見られないと聞いていた。
このままじゃいけない…。
「どうしましたか?」
青年が少しかがんで私の顔を覗き込むような姿勢で私に声をかけてきた。
この声で私は一気に現実へ引き戻された。
「あっ、いいえ。何でもありません。
少し考えごとをしていただけです。」
「それなら良かった。
何だか具合が悪そうに見えたので。」
優しそうな顔をしてるけど中身はまだ分からない。
しかし、この状況を楽しみたいという不思議な感情が私の心に芽生えてきた。
私は気になっていた疑問を勇気を出して聞いてみた。
「なぜ私にお声をかけたのですか?」