Good old fashioned lover boy
第5章 誘惑の炎
※ヒロインside
「今は僕から離れて好きにするがいい。」
この言葉の意味は他の招待客の情報をとってこいという意味だ。
私は相手の目を見ただけでその人物が過去に何をしてきたのかがすぐに分かってしまう。
どうやって見えるのかというと、テレビのチャンネルを何度も変えるように映像が流れその時にあった会話や出来事が私の瞳に映る。
しかし見えたからといってどんなものだったかを忘れてしまっては意味がない。
だから、私はその時に見えた映像に残ったものを手帳にメモを残したり、絵に描いたりして記録するのが奴の手元にいる私の役目だ…。
これがまた恐ろしいくらいに脳裏に焼きついて離れない。
2〜3日ほどたっても覚えてることはザラにある。
こんな能力さえなければ…。
何度も後悔の念が押し寄せてきても現実は変わらない。
パーティーには「あの青年」が来ていた…。
以前から組織のことは噂で耳にしていたが、まさか…。
私は知ってはいけない領域まで来てしまったような気分になり、体が少し震え出した。
落ちついて、今は落ちつかないと…。
私は先ほどまで開いていた膝上で隠すように手帳をギュッと握りしめた。
このバーカウンターには誰も来ないようだ…。
立ち去ろうとしたその時だった…。
「こんばんは。ご一緒してもよろしいですか?」
振り向くとそこにいたのは「あの青年」がいた…。