Good old fashioned lover boy
第5章 誘惑の炎
歓声に応えるように奴は小さく手を振ったり、パーティーの参加者へ軽く挨拶をしていた。
そしてジョルノ達がいる方へ来るかと思いきや、足を止めて後ろにいた彼女の耳元で何か話すようなしぐさを見せた。
話が終わった後、彼女は黒服の男一人と奴がいるグループから抜けた。
何を指示したのか…。
ボスを護衛してる3人に疑念の渦が巻き始めた。
それを察知したジョルノは「あくまでも冷静に」と3人に目配せをした。
「こんばんはMr.ジョバァーナ。
今夜あなたにお会い出来て光栄です。」
ひどく耳障りのいいテノールの声が4人の耳に響いた。
「ご招待感謝いたしますMr.ロッセリーニ。」
短い握手と挨拶を交わした後、奴が口を開いた。
「その節は私の部下が無礼をいたしました。」
私の部下…。
組織に傷をつけたのはやはり金で雇った奴の手下だ。
それを「無礼なこと」としてお詫びをするようなしぐさを見せるとは一体、奴はどんな神経をしてるのか…。
「そのことでしたら問題はありませんよ。
しかし、出過ぎたマネをするのは危険です。
いくら名門と呼ばれる貴方の一族でも傷がついたらいけないので。」
ジョルノはゆっくりと、そして釘をさすように彼に返した。
「これはこれは、肝に銘じておきます。」
奴は軽く微笑しながらジョルノの言葉を受け取った。
若いからとジョルノ見くびっているのか…。
その笑みに隠された黒い欲はなんなのか…。
まだまだ謎めいた部分が多い。
奴が立ち去った後、ジョルノは3人の方へ向き直した。
アバッキオは名前のごとく今にも誰かに噛みつくのではないかというような怒りの表情を浮かべていた。
他の2人も表情にはあまり出てないが内心はアバッキオと同じ気持ちだろう。
「これで分かりましたね。奴が僕たちをおびき寄せた理由が。」
3人はゆっくり頷いた。