Good old fashioned lover boy
第4章 ジュエル
それから私は駆けつけた教師に助けられなんとかその場から逃れられた。
彼女達もこれ以上は校内の秩序を乱すことは許されないととうとう学校に来れなくなってしまった。
しかし、両親が有名人という事もあって腫れ物に触るような扱いを多少受けていたのがあの一件以来より一層酷くなった。
それと同時にどこでどうなったのか分からないが、彼女達に襲われたという話が歪曲して私が悪者になっていたり、または私が黒魔術を使ったという訳の分からない噂が流れた。
これによって私は保護者や同級生に白い目で見られることが多くなった。
「あなたは悪くない」とセシリアを含めた友人達が励ましの言葉をくれたが、元々内気で臆病な性格だった私は以前にもまして社会に溶けこむことが難しくなったしまった。
しかし、幼少の頃から両親に手ほどきを受けていたマジックで世界中を旅したいという夢があった私はこのままではいけないと両親を説得して上の学校ヘ進学することをやめて15歳の頃から両親の付き人をしながらマジシャンとしての活動を始めたのだった…。
しかし、最愛の両親を事故で亡くして今日に至るまでこんな生活を余儀なくされてしまった。
目先の利益を求める男の下でチェスの駒のように動く日々…。
私には夢も、希望も、時間さえも奪われてしまった。
だが、これが私に決められた運命だと言われてしまったらそれまでだと思ってしまうことが多くなってしまった。
それでも暗く沈んだ私の心にはあの青年が何故か忘れられない…。
その答えは今のところ見つかる様子はなかった。