Good old fashioned lover boy
第4章 ジュエル
セシリアは私の指摘に驚きつつも事の顛末を話してくれてその事を二人で教師に相談した。
今回の件は見逃すことは出来ないとルーシー達には厳しく咎められたのだった。
この出来事以来、彼女達の行動は鳴りを潜めた。
それからセシリアにはとても感謝され、人見知りだった私も少しずつではあるが、友人と明るく笑い合える日々が多くなった。
あの時が来るまでは…。
「ねえ、ちょっと来てくれない?」
ある一人の女子生徒に私は校舎の裏側ヘ呼び出された。
そこにはルーシーと私よりも年齢が少し上の少年が複数人いた。
そこで全てを理解した私は恐怖でどうしたらいいか分からず、何を思ったのか私はルーシーの後ろにいた青年の一人の瞳を見た。
とびこんで来たのは若い女性を取り囲んで暴行を加えている姿だった。
「アンタでしょ?
私の事を教師にチクったのは。」
「それが何よ。」
今の私に出来る精一杯の抵抗がこれしか出来なかった…。
「口の聞き方に気をつけなさいよ。
大体、アンタは不気味なのよ。
私のパードレが言ってたわ。
アンタの親は詐欺まがいのまやかしでおまんまを食べてる大人だって。
そしてその子供は大昔の魔女みたいに人を騙す悪女にすぎないって。」
その言葉を聞いた瞬間、私の心には言い知れぬ怒りがこみ上げてきた。
両親のことをよく思わない人間がいることは確かだ。
しかし、自分がやってきた愚行を棚に上げて人を貶す理由にはならないと私は思った。
そんな事を考えていると、私は両脇を二人の青年に羽交い締めされてしまった。
子供であった私には到底振り払うことは出来ない。
そしてルーシーは私の前に立ち意地悪な笑みを浮かべて言った。
「アンタみたいな女は魔女狩りよ。」
すると、彼女の隣にいた一際大柄な青年が私の制服に手をかけた。
もうダメだ。おしまいだ…。
その時、目の前にいた青年が何か大きな力で吹き飛ばされて後ろにいた青年達に衝突したのだ。
もちろんその日は人が飛ばされるほどの強風なんて吹いてもいなかった。
目の前で起こった突然の出来事に彼女達は先ほどまでの威勢はどこかへ行ってしまい、恐怖でおののくばかりになっていた。
「アンタは魔女じゃない。悪魔よ!」
ルーシーがそう叫んだ瞬間、騒ぎを聞いた若い教師がやってきた。