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Good old fashioned lover boy

第4章 ジュエル


それは今も忘れられない学校での出来事だった。
ある日の放課後、学校に忘れ物をしてしまった私は一人で自分の教室ヘ向かった。
誰もいない思って教室ヘ入ると、私の友人であり校内で優等生と名高いセシリアがいた。
しかし、いつもハキハキと明るい姿とはうって変わって私が見たのは椅子に座って顔を両手で覆い、泣いてる彼女だった。
何が起きたのかと状況を確認すると彼女の前にある机に壊れたブローチがあった。
これは以前に彼女の家ヘ遊びにいった際、亡き祖母から貰った形見なのだと教えてくれたものだった。
一体、なぜ、どこで壊れてしまったのか…。
そして彼女が涙を流すほどの苦しみを誰が与えたのか…。
「セシリア…。」
私が声をかけると彼女はゆっくりと顔を上げた。
「ヴィオーラ…。」
長い時間泣いていたのか瞼は赤く若干腫れぼったくなっており、顔には涙腺もできていた。
そしていつも明るくキラキラと輝く灰色の瞳が涙で悲しく潤んでいた。
「セシリア、どうして泣いてるの?」
私が彼女に質問を投げかけたその時だった。
彼女の瞳を見つめた瞬間、私の瞳にとある光景が見えてきた。
それは彼女が複数人の生徒に囲まれて何か言いがかりをつけられているシーンだった。
その中心にいたある一人の生徒が見えた瞬間、彼女が涙を流す理由が分かったような気がした。
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