Good old fashioned lover boy
第4章 ジュエル
「私はあなた自身」…。
彼女は私の分身なの…?
初めて出会ったあの日から私は着実に変わり始めた。
白い鳩を出す練習さえもままならなかったマジックも少しずつ上達してきた。
手元はまだ危ういが両親と同じようなことを出来るようになり褒められることが多くなった。
その頃から私は今もショーで取り入れる母が得意だった早着替えマジックを練習するお許しがもらえた。
この出来事は当時の私にとっては宝くじで高額賞金が当たったのと同じくらい嬉しいものだった。
ある日、自宅にある地下室で練習に飽きて一人で部屋を物色してる時に高級感のある細長い箱を見つけた。
開けてみると中には黒真珠のネックレスが入っていた。
恐らく母の私物だろう…。
しかし心の中にあった好奇心といたずら心で私は一度箱を閉めて指先でトントンとつついてパチンと指を鳴らした。
これも父がマジックでよくやる仕草だ。
あくまでもマネだから何も変わることはない…。
そう思って箱を開けるとネックレスは黒真珠から白く光を放つ真珠に変わっていた。
驚いて箱を閉めて後ろを振り向くとやはりそこには彼女がいた。
私は誰にも言えない秘密の力を得てしまった…。
しかし、それは自身の人生を左右させる事態になっていくことを私はまだ知らなかった。