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Good old fashioned lover boy

第4章 ジュエル


私がこの不思議な力に気づいたのは10歳の頃だった。
その日、私は両親と三人でシチリアにある別荘で夏の休暇を過ごしていた。
しかしせっかくの休暇だというのに外は雨が降っていたのだ。
両親は夕食の支度をしていて私は自身の部屋で過ごしていた時だった。
ふと私は机に置いてあった一本の鉛筆を手に取り、以前に父がテレビで披露したマジックのマネをしようと等身大の鏡に立った。
それは父が得意としていたある一つの物体から様々な物体ヘ瞬間に変えていくものだ。
この前観たのは一本の鉛筆から一輪の花へまたそれを花束へと変えるといったものだった。
それを披露すればたちまち人々は驚きと興奮で釘付けになってしまう…。
私もそんな風になれたら…。
そう思って私はポケットに入っていた白いハンカチを出して右手で持っている鉛筆の上からそれを被せた。
あくまでも父の見よう見まねだ…。
そう思って父と同じように左指をパチンと鳴らしてハンカチを取ったその時だった…。
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