• テキストサイズ

Good old fashioned lover boy

第4章 ジュエル


※ヒロインside
「どうも君の調子はこのところあまりよろしくないね。」
男はそう言ってため息を吐いた。
私はただ静かにその言葉を聞くしかなかった。
「君に活動の場を与えてるのにそれなりの働きをしてくれないと困るんだ。
ビジネスとはそういうものなんだよ。」
今日という日までこの言葉を何度聞いたことか…。
この男は己の利益に繋がるなら平気で人をチェスの駒のように使い、最悪の場合はこの世から消すことだってする。
ところが、人々はそれに気づくことはない…。
否、それ以前に巧妙な手を使って揉み消すからだ。
人々はこの男を知性の溢れた若き紳士だと称賛するが私は違う。
大切な人の命をいとも簡単に奪い、そして私の人生を、時間を奪った男だ。
こんな能力がなければ、私が平凡でどこにでも居そうな女だったら…。
そんな事を何度考えただろうか…。
しかし考えたとしても答えが出てくることはない。
「まあ、せいぜい頑張ってくれたまえ。
君の瞳は僕にとって重要なものなのだから…。」
男は私の顎を指で軽く上げてニヤリと口角を上げながら言った。
このシチュエーションは普通ならどの女性もときめくかもしれないが私にとっては苦痛でしかない。
やめて、これ以上は触れないで…!!
本当ならその手を振り払って叫ぶはずだが私にはそれすら出来ない…。
何故なら今の私はこの男の操り人形でしかないからだ…。
/ 164ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp