第4章 ジュエル

その新聞にはガードレールを突き破り崖から転落した車の写真が大きく掲載されていた。
その上には「国民的夫妻、海に沈む」と大きく書かれている。
「事故が起きたのは7年前の冬。
アンドリューが運転していた車がスリップを起こして崖から海へ転落したんだ。
同乗していた妻のマリアと共に帰らぬ人となってしまったんだよ。」
(ミ)「そりゃ国民的スターが急死したんだ。
新聞やテレビもこの話で持ちきりだったぜ。」
「死因は事故死だったんですか？」
「最初はそう思われていたさ。
ところが後から二人は事故死と見せかけて何者かによって殺されたのではないかっていう噂が持ちが上がったんだよ。」
「何者かによって殺された？」
次にメローネが見せたのはその疑惑を報じた新聞の画像だった。
最初のものよりこそ大きく掲載されていないが疑惑の内容が事細かに書かれていた。
記事によれば、夫妻の司法解剖をしたところによるとアンドリューの右脇腹から弾丸が検出されたのだ。
そしてマリアの左肩に何かがかすめたような痕跡があり、調査の結果は二人が何者かに追われその中で銃撃にあいその果ての事故なのではないのかという説が浮上したのだ。
「新たな展開に誰もが事件の解決を望んだがそれは叶うことはなかったんだ。
ある日突然、捜査が打ち切りとなったんだよ。」
(ナ)「打ち切り！？何でだよ。」
メローネが理由を話そうとしたその時、“バンッ！”とドアを強く開けるような音がした。