Good old fashioned lover boy
第11章 懐かしのラヴァーボーイ
「私を…離したくない…?」
「えぇ、僕は何がなんでも貴女を離したくはないんだ…そして今夜も…」
こんな言葉を言われてときめかない女性なんてきっといないだろう。
だけどその言葉の雨は私に降り注がれている…。
そう考えただけで身体はどんどん熱くなっていた。
すると「彼」はハッと我に戻ったと思ったら眉をハの字にして困惑した表情を見せた。
「すみません僕としたことが…。貴女の気持ちも聞かないで…。」
「ううん、平気よ…。とても嬉しいわ…私も今日という日をまだ終わらせたくはないの…。」
こう言った途端、「彼」は驚いた表情を少し見せたがそれ相応の答えが聞けて嬉しかったのか穏やかな笑みを浮かべた。
「貴女の答えが聞けて良かった。」
そう言って「彼」は車のエンジンをかけて別の場所へと走らせた。
車は市街地を抜けてネアポリス郊外へと抜けていき、着いたのはモダンな造りの邸宅だった。
「ここは、あなたの家?」
「そうです。どうぞ先に降りて下さい。」
言われた通りに先に車から降りると「彼」はガレージに車を停車させてすぐにやってきた。
扉の鍵を開けて「彼」と一緒に中ヘ入ると、家の中はシンプルかつ無駄のない家具が並べられていた。
「綺麗なお部屋ね。ここにはいつから住んでるの?」
「この家を買ったのは20歳の時なのでもう5年は住んでます。
元々は資産家の老夫婦が住んでいたのですが、その主人が亡くなった後に夫人がこの家を手放したのを僕が買ったんです。」
20歳で家を変えるなんて相当な財力が無いと出来ないことだ。
やはり「彼」はギャングのボスなのだと改めて実感した。
「さぁ、立ち話もなんですからソファーにかけて下さい。温かい紅茶を入れますから。」
「そんな、悪いわよ。」
「大丈夫ですよ。僕がそうしたいんだ。さぁ、コートを脱いでそちらへ」
そう言われて私はコートを脱いでソファーヘ腰かけた。