Good old fashioned lover boy
第11章 懐かしのラヴァーボーイ
近くに停められていた黒塗りの高級車の助手席に乗ると、私はどうしても気になっていたことを「彼」に聞いた。
「ねぇ、どうして私だと分かったの?
以前よりも見た目はかなり変わってるはずなのに…」
すると「彼」は私の片耳に手をのばして言った。
「耳の形ですよ。」
「耳?」
「はい、髪や瞳の色を変えたり顔を整形したとしても耳だけは変えることはできません。
だから、見た目を変えたとしても耳の形さえわかればその人が本人かどうか確認することが出来るのです。」
「そう…やっぱり裏で色々と調べてたのね。」
「貴女のスタンド能力はどうしても悪い人間に利用されてしまいがちです。
ですが、貴女の人生を脅かす存在はもうここにはいません。
ミス・ヴィヴィ、貴女は自由の身です。」
「自由の身」…いざそうやって言われると何とも言えない気持ちが心の中で広がっていた。
恐らく、ロッセリーニに軟禁されてた長い期間で感覚が麻痺してしまってるのが影響してるのかもしれない…。
だけど、私は自由の身になったとしても「彼」がいない世界なんて…。
そう思った矢先に「彼」が再び口を開いた。
「だけど、もしまた貴女の人生を脅かす者が現れたのなら僕が自身の命をかけて守ります。
ミス・ヴィヴィ…いえ、ヴィオーラ・カルディナーレ。
僕は貴女に恋をしてるんです。」
信じられない…こんなにも美しい人が私に恋をしてるなんて…。
その言葉を聞いた途端に心臓の鼓動はうるさいくらいに鳴り響き、身体が一気に熱くなってしまった。
「ど、どうして私に…?」
「彼」はあの時のようにまた私の手を絡めるように握り、エメラルドグリーンの瞳で私をまっすぐ見つめて言った。
「あのバールで初めて会った時からです。
貴女のそのスミレ色の瞳に見つめられた瞬間に、僕は恋に落ちてしまったんです。」
「でも、貴方のような人は街の女性達が放っておかないはずよ?それに私は…」
「他人の過去を見てしまう無礼な女だとでも言いたいのですか?
でもそれはあの男達にその力を利用されてしまっただけに過ぎません。
本当の貴女はあのショーの時みたいに多くの人々を楽しませ、笑顔にすることが出来る力を持つ女性です。
もちろんスタンド使いでもある貴女も全て僕は恋をしてるんです。
…僕はもう、二度と貴女を離したくないんです。」
