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Good old fashioned lover boy

第11章 懐かしのラヴァーボーイ


現れたのは浅黒く彫りの深い顔をした流れ者の「あの男」だった。
「ロラン…どうして…。」
突然の事態に私の頭の中はパニック状態に陥った。
あの事件から行方不明だと聞いていたけどまさかこの街にいたなんて…。
するとロランはニヤリとした笑みを浮かべながら話し始めた。
「理由は簡単だよミス・ヴィヴィ。アンタを探しに来たんだよ。」
「どうして?ロッセリーニは死んだはずなのに…。」
「あぁ、奴は死んださ。でも、今のボスにアンタの特殊能力を話したら連れてこいと言われてな。
それでアンタをずっと探していたのさ。」
恐怖のあまりに身体の震えが止まらない…。
この男によって私の穏やかな日々は壊されてしまう…。
そして私の頭の中にはパードレとマードレ、いつもお店に来てるお客さんやトリッシュの顔が走馬灯のように駆け巡る…。
私には前の自分とは違う日常を過ごすことも許されないようだ。
「しかしあんな老いぼれに差し出すのも気が進まねえな。」
そう言ってロランは私を壁に追いつめ顎に指を添え軽く上げて言った。
「前から俺はアンタみたいに控えめな女が好きなんだ。
派手に着飾ってギラついた目で獲物をハントする女よりもはるかに良い。
しかも前よりも良い女になってるじゃねえか。」
こんな男に褒められたってちっとも嬉しくはない。
私は思わず拒絶反応からジュエルを発動させた。
「私に触らないで!!」
大声で叫ぶとジュエルによって突き飛ばされたロランは近くにあったごみ捨て場まで吹き飛んだ。
「このアマが…!!」
先ほどのニヒルな男とはうってかわって怒りに任せてロランは私のコートに手をかけた。
「やめて、触らないで!」
しかし私の精一杯の抵抗も男の力には敵わない。
このまま私は死ぬまで自由を奪われてしまうのかと感じたその時だった。
どこからか植物の蔦が伸びてきてロランに巻きつき私から引き剥がしたのだ。
「ここにいましたか。」
聞いたことのあった「あの人」の声が私の耳に入ってきた。
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