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Good old fashioned lover boy

第11章 懐かしのラヴァーボーイ


待ち合わせ場所であるいつも働いてる花屋には、いつもとは違うフォーマルな服装に身を包んだマードレとパードレがいた。
私は2人と合流してパードレが予約したというリストランテへと向かった。
そこはこの辺りでも老舗と呼ばれてるお店で2人の結婚記念日には必ず訪れる場所なのだという。
予約していた席に座り、出される食事はどれも美味しくて普段はあまりお酒を飲まない私でさえマードレと一緒に赤ワインを飲んだ。
2人も「こうやって夫婦以外の誰かと食事したのは姪の結婚パーティー以来だ」と楽しそうに話していて、血は繋がっていなくてもこうして私が生まれた日をお祝いしてくれる人がいるのだと思うと嬉しい気持ちになった。
楽しかった時間はあっという間に過ぎ去り店を出ると、酔い覚ましと言わんばかりに冷たい空気が頬をかすめた。
花屋のところで2人と別れ、一人で家路につく途中に黒いコートを着たエミリオの姿があった。
「あらエミリオじゃない。こんな時間にどうしたの?」
「やあヴィヴィ、仕事の帰りなんだ。
今日はいつもの君より一段と綺麗だね。」
こんな時間でこんな日に会えるなんて…。
私の心にさっきのディナーと同じくらい嬉しい気持ちが芽生えていた。
「ところで今から家に帰るのかい?」
「えぇ、ディナーの帰りなの。」
「こんな綺麗な女性が一人で帰るのは危険だ。家の近くまで送ってあげるよ。」
差し出された手に無言で頷いてそっと握ると彼はゆっくり歩き出した。
さっきの場所とは違う暗い路地に入った途端、聞いたことのある声が私の耳に入ってきた。
「まんまと引っかかったな。」
「えっ…?まさか…。」
エミリオがゆっくりと振り返り自身の顔に手をかけた。
ビリビリと破ける音がして現れたのはロッセリーニを裏切ったあの男だった。
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