• テキストサイズ

Good old fashioned lover boy

第11章 懐かしのラヴァーボーイ


※ヒロインside
寒さは日に日に増していき、街はクリスマスムード一色に染め上げられていた。
この国ではクリスマスは家族と過ごす人々が多いけれど私にはそんな人はもうこの世にはいない…。
でも、一人で過ごしてきたこの季節にもう慣れていたが数日前にマードレから「イブの日に3人で一緒にディナーヘ行かない?」と誘われたのだ。
突然の誘いに驚いた私だったが、マードレは「イブの日はあなたの誕生日と聞いてる。ご両親を失くしてまだ慣れていないこの街でいつも頑張ってるあなたの生まれた日をせめてお祝いしてあげたい。」とのことだった。
そこまで私のことを考えてるということを聞くと思わず胸が熱くなり、その日は3人でディナーに行くことになったのだ。
迎えたクリスマス・イブ当日…。
いつもよりも念入りに化粧をして、薄紫色のレースがたくさん使用されてるにオフショルダーのドレスワンピースに着替えた。
これは休日にトリッシュとブティックに行った時に買ったもので、最初に彼女から「これはどう?」とショーウィンドウに飾られてたこの服を勧められた時は正直言って戸惑いしかなかった。
何より私は露出した服を着たことが無かったしこういったものはキラキラした美しい人が着たほうが相応しいと敬遠してきたからだ。
しかし彼女は「年に一度しかない自分の記念日をないがしろにしてどうするのよ」と強く勧めてきたので挑戦の意味で買うことにしたのだった。
ワンピースに着替え、母親の形見であるショート丈のカフェオレ色のファーコートを着て化粧台の前に腰かけた。
その時、この姿で「あの人」の前に現れたらどんな反応をするのだろうと考えた私がいた。
否、自ら裏切り姿を消したのに都合が良いにも程があるとすぐに頭を振ってその考えを捨て去った。
時計を見ればもうすぐマードレ達との待ち合わせの時間が差し迫っていた私は急いで部屋から出たのだった。
/ 164ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp