Good old fashioned lover boy
第11章 懐かしのラヴァーボーイ

※ヒロインside
「…それで、何から話したらいいのかしら?」
「別にそこまで気にしなくて平気よ。」
トリッシュにそう言われ私は少しだけ肩の力が抜けた。
そこから私は彼女の元から去ったあの空白の期間のことを話した。
両親が亡くなった後、ロッセリーニという男に「君を支援したい」と近づいてきたが実際は私のスタンドを利用する為だったこと、あの男の屋敷で事実上の軟禁状態だったこと、ショーに出る時は必ず黒服を着た男達の護衛がついてたこと、外出する時もどこかで見張ってること(でもそれは私を洗脳する為のハッタリに過ぎなかった。)を順序立てて彼女に全てを話した。
「そうだったの…ご両親の事故は前からテレビで不自然なことが多いって報道されてたけど、まさか殺されたなんて…」
「えぇ…だけど真実が分かったところで両親は戻って来ないわ。」
「洗脳されてたって言ってたけど、よく騙されなかったわね。」
「黒服の男達が話してるところを聞いたのよ。
あの女は上手く騙されたってね。そこで目が覚めたわ。
…でも、抜け出すことは出来なかった。」
「誰がそれを助けてくれたの?」
この言葉を聞いた瞬間、私は時間を止められたように固まってしまった。
ここで「あの人」の名前を出したら、かつてギャングに保護されたことのある彼女はどんな反応をするのだろう…。
どう答えれば良いのだろうと戸惑っていたら彼女がまた投げかけてきた。
「私に話せないってのはもしかして、私の知ってる人なの?」
「トリッシュが知ってるかどうかは私には分からないわ。
でも、私はその人を裏切ってしまったから…。
私を命がけで守ってくれたの…なのに私は…。」
「あの人」のことを想うと枯れたはずの涙が再び溢れてきた。
裏切って逃げるように姿を消したのに…。
突然のことに一瞬だけ戸惑いをトリッシュだったが全てを察したまた私に投げかけた。
「ヴィヴィ、あなたがその人のことを想ってるのならまた巡り会えると私は思うの。
人生って本当に何が起こるか分からないわ。
私も、もう会えないと思ってたけどまた巡り会う奇跡に恵まれたから。」
「あなたはそうかもしれないけど、私は…」
「そうやってネガティブでいるとチャンスを取り逃がすわよ。
何があっても今はその人を忘れてはダメよ。」
「えぇ、わかったわ…」
「あらもうこんな時間。近くまで送るわ。」
