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Good old fashioned lover boy

第11章 懐かしのラヴァーボーイ


「私と話したい…?」
もう一度「彼女」の方を見ると、「彼女」は驚いた表情をして慌ててスタンドを解除したのだ。
「スパイスガール」の言った通り、「彼女」は私に対して敵意は無いようだけど、どうしてもさっき言われたあの言葉がどうしても引っかかっていた。
「彼女」とは今日初めて会ったはずなのに…もしかしたら…。
悪い考えが頭の中で目まぐるしく回り始めた時、ようやく「彼女」が口を開いた。
「ごめんなさい、あなたの過去を見るつもりなんて無かったの…私…はあ、上手くコントロール出来なくて…。」
そう言って「彼女」は煙草の火を消した。
相手の過去が見える…?
それってまるでアバッキオの「ムーディーブルース」と似たようなものじゃない。
でも、さっきの言われたことを思い出してみると「彼女」はまるで私の生い立ちを聞いた後に出るような言葉だった。
この時、私は何故だか「彼女」に対する興味がだんだんと湧いてきてある質問をしてみた。
「ねぇ、私の過去が見えたのなら話してご覧なさいよ。
私はどこで生まれてどんな人生を送ってきたの?」
「彼女」は怯えた表情を見せたがすぐに質問を返してきた。
「あなたイスキアの生まれで母親と暮らしていたけど、若くしてその母親が亡くなってしまいあなたは複数の若い男性達と行動を共にすることとなって…別の男性に命を奪われそうになった…。
その人とはどういう関係なのかはよく分からないけど…。
それに、あなたの名前も分からない…。」
ほとんど正解している…完全体ではないけれど、「彼女」は私と同じくスタンド使い。
あの吸いこまれそうな美しいスミレ色の瞳で人の過去を見ることが出来るんだ…。
前に、カフェで誰かが話していたのを耳にしたことがある。
そのカフェの近くにあったバールでは時々、駆け出しのショーガールやマジシャンなどがステージに立つのだけど、そこに若い女性マジシャンがよく出演してるのだという。
特別な美貌の持ち主ではないけど「彼女」の瞳はまるでアメジストをはめ込んだような美しい瞳をしてるのだとか…。
まさかその噂の「彼女」がスタンド使いだったなんて…しかも、その周りをうろつく黒服の男達も気になる。
「彼女」にはまだまだ触れていない秘密があると私は確信した。
「私の名前はトリッシュ・ウナよ。あなたの名前は?」
「ヴィオーラ・カルディナーレよ。」


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