• テキストサイズ

Good old fashioned lover boy

第10章 自由への旅立ち


「拝啓
突然の手紙を差し出すことをお許し下さい。
私の命を救ってくれた貴方には感謝しても感謝しきれません。
ですが、命を失ってもおかしくない怪我を負わせてしまったのは私の責任でもあります。
元々、貴方と私は別の世界で生きていた人間…。
貴方がくれた熱いまなざしと優しさを大切にしてどこかでひっそりと生きていきます。さようなら。
ヴィオーラ・カルディナーレ」
細く繊細な文字で書かれた短い手紙ではあるがその言葉の一つ一つがジョルノの心に深く突き刺さった。
「何も知らねえって顔をしてるわりにはハッキリと言うんだなあの姉ちゃん。」
ミスタがベッドの端で頬杖をつきながら言った。
「あのさこの手紙に書かれてる文字、ところどころ滲んでねえか?」
ナランチャの指摘した通り、液体のようなもので濡れてしまったであろう文字が数ヵ所ほどある。
恐らく「彼女」はこの手紙を書くにあたって涙を流しながら書いたのであろう…。
そう考えただけでジョルノの胸は張り裂けてしまいそうだった。
「パッショーネをまとめる若きボスも随分としおらしくなったものだな。」
何とも言えない重い空気が漂う中、先ほどまでほとんど言葉を発しなかったアバッキオが吐き捨てるように言った。
「アバッキオ、いくら何でもそれは…」
フーゴが注意しようとするやアバッキオは彼の顔の前で手のひらを見せて静止させるとジョルノに続けて言った。
「俺はギャングの色恋なんざ正気の沙汰じゃねえと思ってる節がある。
だがお前はこの手紙一枚で諦めるような男じゃねえってことぐらい俺でも分かる。
それにだ、ロランは逃亡して行方をくらましてるがどこかの組織に転がりこんで彼女をまた狙ってくるかもしれねえ。
それを阻止出来るのはそんじょそこらのカタギの男じゃなくてお前しかいねえだろジョルノ。」
アバッキオの言葉でジョルノ以外の3人の視線は一気にジョルノヘ向けられた。
ブチャラティから「彼女」が滞在していたホテルの一室がもぬけの殻になっていたと連絡があったのはその後のことだった。
/ 164ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp