Good old fashioned lover boy
第10章 自由への旅立ち
※ヒロインside
「彼」が目を覚ましたという知らせが入っても私は、「彼」命を危険に晒すほどの怪我を負わせてしまったという責任から病室に入ることが出来なかった。
「あの男」も「彼」と同じく病院へ搬送されたが搬送先で死亡が確認されたと報道されたが、これまで裏で行ってきた数々の悪行がどんどん明るみになり始め、「あの男」と関係していた政治家は賄賂や汚職で摘発されたり、親交のあったセレブ達はその地位を追われるという出来事が相次いでメディアに報道されていた…。
恐らく死してなお自らの悪行は消えることはなく人々の印象に残るかもしれない。
そして「あの男」の近くにいた執事は風の噂だがネアポリスから消えたという話も聞いた。
一方で私はというとブチャラティさんが用意してくれたホテルに滞在していた。
精神的に不安定な状態になっていた私の身の回りのことを彼はよく気にかけてくれた。
このおかけで精神的に良い方向ヘ進めることが出来た。
しかし、いつまでもこの状態ではいられないと私は覚悟を決め「彼」がいる病室ヘ足を運んだ。
震える手で病室のドアを開けるとベッドで眠ってる「彼」の姿があり、隣にある引き出しの上にある花瓶には私が贈った白いユリが律儀に飾られていた。
寝顔でさえ「彼」の姿は息をのむほどの美しさもあったがそれと同時に切なさが波のように押し寄せてきた。
私と「彼」とは生きてる世界が違う人間なんだ…。
その気持ちがじわじわと心の中に溢れきた私は花瓶の近くに自身の気持ちをしたためた手紙をそっと置いた。
そして後ろを振り向かないように病室から立ち去ったのだった…。