Good old fashioned lover boy
第10章 自由への旅立ち
※ヒロインside
悲鳴や叫び声が聞こえたパーティー会場を抜けて私はある男に腕を掴まれてエレベーターヘ乗り込んだ。
以前、奴に書斎ヘ来るように呼び出された私は初めてこの男と会った。
男はロランと名乗り、多くのギャングと関わってきたアウトローだと私に言った。
浅黒い肌で髪は黒い癖毛で目はブラウン、年齢は30代〜40代くらいだがこの男もまた恵まれたスタイルの持ち主でどこかプレイボーイの雰囲気を漂わせていた。
しかし私は奴と同様に欲望に目をギラつかせて平気で誰かを裏切るこの男がとても嫌いだった。
エレベーター内で彼と視線を合わせないようにしていたが、こっそりと彼の方を見るとこれから何か大きなものが舞い込んでくるのを楽しみにしてるかのようにほくそ笑む姿があった。
エレベーターは最上階で止まり扉が開くと屋上にはヘリコプターがいつでも飛び立てるように準備されていた。
私はこれに乗せられてどこかヘ連れてかれてその先で用無しだと殺されるのか…。
思えば何とも悲しい人生だった…。
でも、あの「青年」がくれた熱いまなざしはあの世ヘ召されてもきっと忘れないだろう。
ヘリから奴が降りてきて私に耳元でこう囁いた。
「君に自由なんて似合わない…。」
どうやら私が密かに行っていたことを全てお見通しだと言わんばかりの口調だった。
もう私にはここから抜け出せる力は無い。
そう思ってヘリに乗り込もうとしたその時、聞いたことのある声が聞こえてきた。
「貴方が逃げようたって無駄ですよ。」