Good old fashioned lover boy
第10章 自由への旅立ち
あのショーの時と同じ黒いスーツを着た「彼女」がステージに現れた。
ジョルノは周りに不審な行動を取る人物がいないかずっと視線を動かしていた。
余興と言いつつ、もしかして「彼女」を餌にして自分達をおびき寄せる為だけにこんな道楽めいたことをしてるのではないかとジョルノの頭の中ではその考えが巡っていた。
これから何が起きるのかこちらでは分からぬまま、「彼女」はあの時のように人々をあらゆるマジックで樂しませていた。
まさか…「彼女」は…考えたくもない悪いことが頭をよぎったその時、拳銃を持った一人の男がステージに上り彼女に掴みかかってきたのだ。
「てめえ、何こっちをジロジロ見てるんだよ!」
男はそう叫んで「彼女」の腕を掴んだその瞬間、厳重に閉ざされていた扉が開いた。
そこから銃を持った黒服の男達が一斉に入りこんできたのだ。
銃を所持しておりなおかつ出入口が一つしかないという状況でパーティーの参加者達は我先にと一つの出口へなだれこんだ。
予想してない事態に混乱を隠しきれないジョルノ達だったが、壁に現れた金色のジッパーを見つけた瞬間にそれはすぐに消え去った。
「ジョルノ達!早くこっちへ来い!」
会場内が阿鼻叫喚の渦の中、彼らはジッパーによって開けられた空間に入っていった。