Good old fashioned lover boy
第3章 華麗なる瞳
それからも彼女の勢いは止まらなかった。
自身が巻いていた黒いスカーフをステッキに変えたと思ったらそこから花束に変えたと思えばそれを絵のキャンバスの中に閉じ込めってしまったりと息をつかせる暇もないくらいの展開を作り上げた。
ショーも佳境になり、彼女が取り出したのは美しい宝石が描かれた本だった。
中はどれも一度は欲しいと憧れる価値があるものばかりだ。
彼女は開いたページを指差しで観覧に見せた。
そこに載っているのは美しく輝くエメラルドの指輪だった。
まさかこれを出すというのだろうか…。
これには観客の中にはヒソヒソと彼女を疑うような声も聞こえた。
そんな声はお構いなしに彼女は身につけていた白い手袋を右手だけ外して本に挟み、トントンと左の人差し指でつついた後にパチンと鳴らした。
すると、右手の薬指にはあの本にあったエメラルドの指輪が輝いていた。
それを見るや否やショーで一番大きな観声が上がった。
「凄い、あんな宝石まで繰り出すなんて」
フーゴはポツリとそう呟き、アバッキオは信じられないと眉間にシワを寄せた。
一方でジョルノはここまで何も言葉を発していない。
いや、彼女の瞳と見つめあったあの瞬間からショーのこと見ることが出来ない不思議な感覚に襲われていた。
敵に攻撃されるものとはまた違う、感じたことのない感覚…。
その答えを出せないままショーは閉幕してしまった。