Good old fashioned lover boy
第10章 自由への旅立ち
そこは鏡の中の世界…。
現実の世界とは違い、恐ろしいくらい静かな場所でこの世界の中にある物質は本体であるイルーゾォとそのスタンドである「マンインザミラー」しか壊すことが出来ない。
アバッキオもかつての戦いでこの男のスタンドに苦しめられた一人だ。
「このイルーゾォのスタンドに自ら捕まるとはお前は随分な物好きだな」
相変わらず高飛車なこの男にアバッキオは「お前は喋るな」と言わんばかりに彼を睨みつけた。
「それで、あの場所で一体何を始めようってんだよ。」
アバッキオが執事にそう聞くと男はゆっくりと話し始めた。
「あのホテルでは多くの政治家やセレブ達、そしてあなた方のような人達がこぞって薬物や銃器などの取り引きを行ったり闇のオークションも行われたりします。
旦那様の代からこのパーティーは行われており、もちろんレオナルド様も例外ではありません。」
「ヴィオーラ・カルディナーレも関係してるのか?」
アバッキオが「彼女」の名前を出した時、男は一瞬だけ首をかしげたがすぐに思い出したように続きを話し始めた。
「ヴィオーラ…あぁ、あのお嬢様のことですか。
お嬢様のご夫婦は先代の旦那様と長いお付き合いをされていましたがこのパーティーに関わったことは一度もありません。
ところが、レオナルド様はあのお嬢様の持つ不思議な能力の虜になってしまい、まさか屋敷に軟禁するなんて…。
あのお嬢様はパーティーでいわゆる前座のような役割をしてもらうのです。
あなた方もお嬢様の不思議な能力をご存知でしょう。
そこでレオナルド様は自分と利害が一致する人間を選別するのですよ。」