Good old fashioned lover boy
第10章 自由への旅立ち
「おい。」
ドスの効いた声でアバッキオが呼び止めたのは黒いスーツを着た年齢は50代〜60代くらいの白髪混じりの男だった。
調査によればこの男は長年ロッセリーニ家に使える執事で今回のパーティーも彼が部下達を束ねて取り仕切っているとのことだ。
さらに、屋敷に軟禁されてる「彼女」の存在を知る数少ない人物でもある。
実は以前にアバッキオがこの男に接触していたのだ。
というのも、この男も「彼女」と同じくロッセリーニの常軌を逸した行為に恐怖を覚え奴の元から離れようと計画していた。
しかし、変なマネをすれば自分の命はなくなってしまう。
そこにアバッキオが現れたので組織に密告するという取り引きを結んだ。
要するに奴の常套手段を逆手に取ったのだった。
そして、万が一男が逃げ出すことが無いようにそれに関して有利なスタンドを持つイルーゾォを連れてきたのはこの為だった。
「今日は何故お前の元に来たのか理由は分かるだろうな?」
アバッキオが問いかけると男はゆっくりと頷いた。
「ここだと誰かが見ててもおかしくはありません。
どこかもっと静かな場所へ移動したいのですが…。」
丁寧な口調で男が聞くとアバッキオはイルーゾォの肩を叩くと彼が懐から手鏡を取り出した。
3人はその瞬間に鏡の中へ吸い込まれるように消えていった。