Good old fashioned lover boy
第10章 自由への旅立ち
アバッキオとイルーゾォはネアポリス郊外にあるホテルの裏側にいた。
そこはロッセリーニの父親の代から所有してるものであり、この辺りでも古いホテルであった。
アメリカのヒルトンホテルほどではないが国内のセレブ達や大物政治家がこぞって利用しており、格式は高い場所であることは確かだ。
「彼女」の密告によれば奴はここでVIPが多く招待してパーティーが行われるという。
しかし、それは大物アーティストがやるような浮かれたものではなく彼らと同じような裏社会の人間達も招待されてるという。
(もちろん、パッショーネの方にも招待状が二日前に送られてきた。)
表向きは華やかなパーティーではあるがその裏では「薬物」の取り引きを行うと「彼女」が書いた密告の手紙にそう書かれていたのだ。
二人はこの手紙を見た時に、怒りに震えるブチャラティの表情が忘れることはなかった。
彼は幼い頃に両親が離婚して彼は漁師の父親と暮らしていたのだが、ある日父が海辺で麻薬の取り引きを目撃してしまいギャング達に暴行されたのだ。
彼の父はそれが後遺症となってしまいその末に亡くなってしまったのだ。
ギャングであることに変わりはないが彼は「薬物」が横行してることに心底腹を立てていた。
「彼女」のこともそうだがそれをエサにこのネアポリスを支配しようという奴の行動に怒りを感じざるを得ない様子だった。
普段は高飛車で余計な一言が多いあのイルーゾォでさえも思わず黙ってしまうくらいその空間には怒りに満ち溢れていたのだ。
だが怒ってばかりでは何も進まない。
メローネの情報によればターゲットはこのホテルに来ているとのこと。
イルーゾォのスタンドを使って情報を引き出すのが作戦となっている。
相手はスタンド使いではないのですぐに引き込める。
「来るぞ」
アバッキオがそう呟くと同時に二人は車を降りた。