Good old fashioned lover boy
第9章 輝ける者の秘密
私をじっと見つめるエメラルドグリーンの瞳…。
それだけでも心が熱く溶けてしまいそうだ。
すると私の手を握っていたはずの「彼」の手がゆっくりと伸びてきて、みつ編みをほどき癖が残ってる髪をそっと掬うように触れた。
「貴女は美しい人だ…。」
こんな事を言われたのは生まれて初めてだ。
しかし、それは「彼」が言うものではない…。
何故なら「彼」は誰よりも気高く美しい人なのだから。
「私が…美しい…?」
「えぇ、髪は艶があって肌は雪のように白い…。
…そして、このスミレ色の瞳。
人々は貴女の瞳を恐れるのでしょうが僕は違います。」
「どうして?貴方だって私に自分の辛い過去を見られて嫌なはずなのに…。」
「確かに僕は自分の過去は出来ることなら思い出したくはありません。
…でも、あの日記帳を見てから貴女になら見抜かれても構わない、そう思っていました。」
世の中には老若男女問わず人の信頼を裏切って騙す輩がたくさんいる。
ましてやギャングの世界ではそれで男をはべらして「良い思い」をしてる女だって腐るほどいるはずだろう。
それなのに何故…。
「先ほども話しましたが僕は人を信じることは法律を破り悪事を働くギャングから学びました。
だから僕は仲間を信じることが出来るのです。
そして、貴女のことを少しずつ知っていく奴のような悪事を働くことを貴女には出来ないと考えていました。
貴女はこのスタンド能力を持ってるが故に利用されてきたのだとね。
…女性にとってこの長い時間や年月を奪うことがどれだけ悲しく許しがたいものなのかを奴は知らないのでしょう。」
髪に触れた手が私の頬をなぞるように触れてきた。
何度か奴にこうして触れられたことはあるが私はそれが嫌で嫌でたまらなかった。
でも、「彼」にはその気持ちが起こらない。
熱い視線と視線がぶつかり合い、お互い無言となった。
「僕は貴女を助けたいのです。」
「私を…?」
「えぇ、必ず…必ず迎えに行きますから。」
この言葉の直後に私はゆっくりとまぶたを閉じた。
すると、唇に何かがそっと触れたような感覚がした。