Good old fashioned lover boy
第9章 輝ける者の秘密
「恐らく、否、きっとそうでしょう。
僕はあの出来事で人を信じるということをあの男性から学びました。
しかし、本来ならばこういったものは両親や友人に教えられるものですが僕は皮肉にも法の壁を破り悪事を働くギャングから教わったのです。
だけど、僕はそれで良かったと思っています。
ギャングになってなければ今頃は人の顔色を常にうかがうような暗い性格のままですから…。」
彼はこうしていばらの道を自らの手で開いてきたのだろう。
私を見つめるエメラルドグリーンの瞳は穢れや恐れのないまっすぐなものである理由も頷ける。
「すみません、また一人で語ってしまいましたね…。
…はぁ、困ったな。」
「いいえ、気にしないでください。
私の方こそ本来の話とは全く関係のない話ばかりしてしまって…。」
そう言って「彼」から少し離れると、「彼」が「はぁ」とため息を漏らした。
「こうして貴女と話せば話すほどもっともっと欲しくなってしまう。」
このような言葉をこんなにも美しい青年からかけられたら誰しもがうっとりとしてしまうだろう。
しかし、私にはそんな悠長としてる暇はない…。
それにこれだけの美しさを兼ね備えていたら女性の一人や二人いてもおかしくはないはずだ。
私のような女なんてきっと見向きもされない…。
話すことは話した。後はこの車から離れるだけだ。
そう思ってドアを開けようと手をかけた途端、何かが手に絡まったような感覚がした。
見るとドアにかけたはずの手に蔦が絡まっていたのだ。
突然のことに驚いた私に追いうちをかけるようにふわりと「彼」に抱き寄せられてしまった。